ツルゴアXXX

ひっそりと運営しているチラシの裏ブログ。

アイデンティティウォー表紙

「運?それは関係ない。人生とは戦いだ。
 いいかね、大いなる力にはその力を守る責任がともなう」

「ふふっ、ベンおじさん、その言葉は少し違いますよ」
「ど…どうぞ」
「気にするな。
 メイは自分の甥がクモの力をもってるということに今でも慣れなくてな。
 甥は好きだが怯えてもいる」


三大ヒーローがパラレルワールドで変身!
デッドプール→ドクター・ドゥーム
ハルク→ドクター・ストレンジ
そしてスパイダーマンは…?


ひょんなことからパラレルワールドに放り込まれたデッドプール、スパイダーマン、ハルクの3人。そこは、スパイディが億万長者になり、デップーが「デスマスク」と名乗って暗黒街を支配し、ハルクが地獄で鬼神化(?)しているというトンデモワールドだった。なぜ3人はこの並行世界に送り込まれたのか?その裏には恐るべき陰謀が仕組まれていた……!
ドクター・ストレンジとして活躍するブルース・バナー(どういうこと?)まで巻き込んで、マーベルの個性派ヒーロー達が大暴れするアニュアル3本を収録!


◆収録作品

2011年06月:Amazing Spider-Man Annual #38
2011年07月:Deadpool Annual #1
2011年08月:Incredible Hulks Annual #1


◆並行世界で大パニック!?
小プロの邦訳デッドプールの流れに混ざって刊行されたスパイダーマン誌、ハルク誌、デッドプール誌3誌間のクロスオーバー作品『アイデンティティ・ウォー』
大型クロスオーバーイベントに比べるとその規模は小さめですが、個性的な3人のヒーローの活躍に絞って描かれるそのストーリーは大型イベントとはまた違う魅力があるもの。
しかも本書は久々のスパイダーマン誌の邦訳や非常に貴重なハルク誌の邦訳も兼ねているのが嬉しい。

ストーリーは次元転移装置が置いてある科学研究所、ホライゾン・ラボを強盗が襲い、スパイダーマンとハルクがその対処にあたっていた最中に装置のパワーが暴走、スパイダーマンとハルク、そして強盗に利用されていたデッドプールが別世界に飛ばされてしまうというもの。

この別世界は本来の世界とは多くのヒーロー、ヴィランの立ち位置が異なっていて、正史世界を知っていれば知っているほどその激変っぷりが面白く感じる世界観となっています。
スパイダーマンはこの世界では億万長者で市民に愛されており、あのJJJにまで支持されている世界最強のヒーロー「アメイジング・スパイダー」として活躍中。
なんとあのベンおじさんやグウェン・ステイシーまで生存している幸せな境遇なのだとか。

一方デッドプールことウェイド・ウィルソンは、この世界ではドクター・ドゥームそっくりなコスチュームを身に纏って「デスマスク」と名乗り、暗黒街の支配者として君臨中。
自身の超回復能力を悪用した超絶厄介なヴィランと化していたのでした。
(まあよく考えれば正史世界のデッドプールも超絶厄介な人物ではあるけども)
そんな事はつゆしらず、自分ソックリなコスチュームを着ているデスウィッシュという男とつるんでこの世界で楽しく遊びまわるデッドプール。

じゃあこのデスウィッシュとかいうのは誰なのか
デッドプールそっくりなコスチュームを着ていたこのデスウィッシュという人物は
並行世界のデップーではなかった
作中でさらっと明かされるデスウィッシュの正体はかなり意外な人物だったり

そしてハルクことブルース・バナー博士は、この世界では驚いたことにドクター・ストレンジの後継者として魔術師となっており、その魔力を用いてハルクの人格を冥府に封印し、ブルースとしての人生を歩んでいるのでした。
その影響でこの世界にやってきた正史世界のバナー博士もハルクから切り離され、変身能力を失ってしまう事に。
3名とも正史世界で見舞われた不幸から解放されており、一見するとそれなりに幸せに見える世界。
しかしこの世界には恐るべき陰謀が仕組まれており、正史世界の3人は大きな事件に巻き込まる事になってしまい……?

◆感想
メインストリームの世界ではまずありえないであろう展開が目白押しで、常にサプライズに見舞われながら楽しく読める一作。
別世界とはいえベンおじさんに再会できたピーターが結局異なるタイプの不幸に直面しているのを見て曇ったり、別世界に送り込まれても相変わらず自由な行動を取りまくったりスパイディ大好きっぷりを発揮するデッドプールにニヤニヤしたり、冥府で暗黒の力に晒されて鬼神と化した別世界ハルクと正史世界ハルクの純粋な力と力のぶつかり合いが堪能できる迫力満点な戦闘シーンなど、実に見所たっぷりです。

ハルクVS鬼神ハルク
常に余裕を崩さないハルクの戦いっぷりがカッコいい
セリフを見るにこの時期のハルクは若干理性的っぽい?

スパイダーマン編はしっとりとした雰囲気のエピソードなんですが、デッドプール編、ストーリーの締めとなるハルク編は笑いどころもたっぷり。
スパイディとデッドプールの漫才のような会話、スパイダーマンの作戦で鬼神ハルクの足止めに使われるデッドプールのあんまりな扱われ方はほんと面白い。
そしてオチ付近にもサプライズなギャグ展開が盛り込まれていて、正直アレで吹かない人はいないと思う。
シリアスよりもコミカルなストーリーを求めている方は、本作とかどうでしょうか。

◆デプスパ
デプスパお待ち!

セカンドチャンスマン表紙

『俺はスコット・ラング。通称アントマン。
 はいはい、皆まで言うなって。
 今度のアントマンもまたハズレだって、そう思ってんだろ。
 なってみりゃ悪くもないぜ。時と場合によるけどな。
 超人同士のパーティーにゃ“雷を操れる不死の神です”
 “ミュータントな上にアトランティスで王様やってます”
 みたいなのがウジャウジャいるわけよ。
 …で、俺はって?
 小さくなってアリとお喋りできます。
 補足するとアントマン系ヒーローはこれまでにも大勢いて、
 その大半が死ぬか闇堕ちするかしてる。イイトコなしだよな。
 盛ってるだろって?経験者は語る、だよ…』


I'M NOT GIVING UP I'M JUST STARTING OVER

投獄、離婚、そして死……。
数々の悲劇に見舞われてきた2代目アントマンことスコット・ラングは現在、無職。

全うな暮らしを送ろうと努力を重ねるものの、生来の飽きっぽい性格故にヒーロー仲間からさえも疎んじられる日々。
そんな彼の唯一の慰めは、娘であるキャシーの笑顔だけだった。

だがしかし、そんなささやかな幸せにさえ終焉の時はやってくる。
キャシーとの別れを前に、あらゆる困難から逃げ続けてきた男が下した決断とは……?

映画化で俄然、注目の“小さな巨人”アントマンの新たなる旅立ちをユーモアとペーソスを込めて描く話題作、早くも邦訳!


◆収録作品

2015年03月:Ant-Man Vol.2 #1
2015年04月:Ant-Man Vol.2 #2
2015年05月:Ant-Man Vol.2 #3
2015年06月:Ant-Man Vol.2 #4
2015年07月:Ant-Man Vol.2 #5


◆WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS
歴代アントマンはなぜか皆なにかしら問題を抱えている人物ばかり。
初代アントマン、ハンク・ピムは天才科学者であり、ピム粒子を発見して肉体の縮小能力を得た偉大な人物なんですが精神的に不安定な部分があり、一般人を危険に晒した咎でアベンジャーズを退団させられ、さらには自作のロボット、ウルトロンをアベンジャーズに襲わせてそれを自分が撃破するという自作自演でチームに復帰しようとするなど問題行動が目立つヒーローでした。

クリス・マッカーシーはアントマン・スーツを盗んでその能力を自分のために使おうとしたシールド隊員。
ただそのスーツの能力を使いこなす前にシールド本部を襲撃したテロ組織ハイドラの刺客に殺害されてしまいます。

3代目アントマンのエリック・オグレディはそんなクリスの友人で、殺された彼からアントマン・スーツを剥ぎとってその能力を私利私欲の為に使いまくった、とてもヒーローとは言いがたいシールド隊員。
改心してアベンジャーズに参加するようにはなったのですが、任務中に子供を守って死亡。

そして本書の主人公、2代目アントマンことスコット・ラング元窃盗犯で、家庭を持ってからも必要な物ができる度に他所に侵入して盗みを繰り返していたガチな犯罪者。
ですが心臓病を抱えていた娘キャシーのため、とある研究施設に監禁されていたソンドハイムという医師を救い出そうとアントマン・スーツを盗み出した事がきっかけで2代目アントマンを襲名。現在に至るというわけです。
ちなみに彼も死亡経験があり。なんか歴代アントマン死んでばっかだな!

で、本作『アントマン:セカンド・チャンスマン』はそんな主人公のスコット・ラングが40にして無職を続けてきた結果必死に就職活動するも世間の冷た~い風を受けまくるハメになるというなんかもう見ていて痛々しいお話になっています。
必死に人生をやり直そうとしているのは分かるのだけれども、面接にリクルートスーツではなく新調したコスチュームを着てきたり、トニー・スタークのコネにすがろうするも滾々と説教されてしまうなどで本当にもう……

ダメな父親だけど娘には慕われている
「どうかしているのは俺じゃなくて世間だぜ」と心の中で愚痴りまくるダメ人間なスコット
しかし子煩悩パパな一面もあるので娘キャシーには慕われている様子
……が、現在娘は離婚した元妻ペギーと生活中
キャシーと違いペギーは親権がないのにやたら娘に会いたがるスコットを鬱陶しく思っている

序盤は彼のダメダメっぷりをユーモラスに描きながら展開していくのですが、それでも何とか実力で銀行の融資を受けるところまで辿り着き、驚いたことにスコットは警備会社を立ち上げてしまいます。
同じく職にあぶれて裏稼業に戻ることを検討していた、B級ビランなグリズリーという男を従業員として採用。
この会社が軌道に乗りさえすれば、娘や元妻にも胸を張れる全うな人生を送れるぞ!

トニーに訴えられる!?
「情けは人のためならずか…誰かが誰かにセカンドチャンスを与え続けないとな。
 これでカルマも赤丸急上昇ってか?人を雇うなんて、何だか会社らしくなってきたなぁ…」

……と、ここまで見るとようやく負け組から脱出な感じに思えるのですが、やはりそんなに人生うまく行くはずもなく、この後スコットは大きな選択を迫られる事件に巻き込まれる事になってしまいます。
そこは是非本編で。

◆感想
めっちゃくちゃ面白かった!!
ダメ中年の就活&再出発ストーリーという痛々しくていたたまれない内容なのに、ユーモアたっぷりなシナリオのお陰でテンポよく、面白おかしく読み進められる作品でした。
身体を縮小してオモチャの家に住み込み、絞って出てこなくなった歯磨き粉をチューブの中に入り込んでまで使用する生活をしている惨めな主人公。
いくらスーパーヒーローやスーパービランとはいっても、仕事しなければ生活できないのだ……

スコットだけでなく、ビランの描写もまた面白いです。
「熊の着ぐるみ被った元囚人をどこの誰が雇うってんだよ、ねぇだろ!」とグチっていたがスコットに雇われてからは彼を「ボス」と呼んで付き従うようになったビラン、グリズリー。
子供の遊び相手になるバイトで食いつないでいたビラン、マシン・スミス。
かつては暗黒街の顔役フッドの元でアベンジャーズと戦ったりもしていたが、今現在は女房に嫌味を言われながら小さな犯罪をこなして「…昔に戻りたい」とこぼす悲しいビラン、クロスファイヤー。
こんな感じで色んな中年男たちの悲哀が描かれ続けているので、一応スーパーヒーロー物なのにやたら親近感が湧いてしょうがない。
ややもすると高潔なヒーローが主役な作品よりも感情移入しやすいかもしれない。

しかしストーリーの終盤はしっかりスーパーヒーロー物らしいバトルシーンや感動的なシーンがありますよ!
主人公のスコットは本当にロクデナシだけど、そんな彼が本作のラストで娘の事を本気で考えて取った選択がもうね……
とにかくお勧めの一冊。事前知識もほぼ不要なのでこれは多くの人に読まれてほしい。

勝手に宿敵扱いされて不快になるタスクマスター
勝手にスコットに宿敵扱いされてちょっとイラッとするタスクマスター

ホークアイリトルヒッツ表紙

「クリント・バートン。あんた、何言ってんの?」
「そっちこそ…なに怒ってんだ?だって悪党が…」
「あんた、正義の味方でしょ?しっかりしなさいよ!
 なんのつもり?こんなマネして!尻尾を巻いて退散?
 見損なったわ。せいぜいクリスマスでも楽しんで」


の名手、クリント・バートンの前に立ちふさがるのは、
ハリケーン・サンディ、デジタル機器、犬の名探偵、女性問題、
そしてプロの殺し屋――


クリント・バートンの過去の恋人が勢ぞろい!その時ケイトは……?
女難に水難……二人の“ホークアイ”に今日もまたトラブルが降りかかる!

アベンジャーズのメンバー“ホークアイ”ことクリント・バートン。弓の名手ながら普通の人間である彼の活躍を描いて、日本でも好評を博した『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』の続刊が登場。
今回はホークアイを巡る3人の美女(ブラック・ウィドウ、スパイダーウーマン、そして前妻モッキンバード)が新たに登場して物語に花を添える一方で、1巻に登場したロシア人地上げ屋グループとの抗争が意外な展開を迎える。さらに2014年のアイズナー賞を受賞した傑作エピソード「ピザ・イズ・マイ・ビジネス」を収録した必読の第2巻!


◆収録作品

2013年02月:Hawkeye Vol.4 #6
2013年03月:Hawkeye Vol.4 #7
2013年04月:Hawkeye Vol.4 #8
2013年06月:Hawkeye Vol.4 #9
2013年07月:Hawkeye Vol.4 #10
2013年08月:Hawkeye Vol.4 #11


◆関連作品過去記事
【ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン】

◆“スーパー”じゃないヒーローの日常第2弾
ホークアイ#6デコアベンジャーズネタ
デコアベンジャーズネタが入っているエピソードも収録!

オシャレなアートホークアイのトラブルだらけな日常を描くストーリーが絶妙に噛み合っているホークアイ第4シリーズの単行本2巻がようやく邦訳されました!
1巻が邦訳されたのはもう去年の8月なんですよねこれ。正直1巻だけ出してオシマイになるかと思ってたんで続きが翻訳されたのは非常に嬉しい。

で、第2巻も相変わらずスーパーパワーを持ったヴィランと戦うようなスーパーヒーロー物のような展開には決してならず、街を襲ったハリケーン、ぐっちゃぐちゃになったデジタル機器のコード、これまで関係を持ってきた女性たちなどなど、今回もどうにもスケールが小さめな問題にホークアイが立ち向かっていきます。

……が、そんな中1巻で地上げ屋グループを追い払いビルを自分で購入して住民を助けたこと、そして謎のマフィアに追われていた美女を助けたあのエピソードがこの2巻で厄介な展開に繋がってしまうことに。
あの2編って伏線だったのか……

動き出すマフィア
ホークアイの取った行動が原因でマフィアやそのお得意様を激怒させてしまう結果になってしまった
ビルの住人を人質に取られたホークアイはすっかり意気消沈し、街を出て行く決意をするが……

◆PICK UP キャラクター クラウン
クラウン「言ったろ。地獄から来たって」

「マーベルには魅力的な新ヴィランが不足している」と言われている昨今、このホークアイ第4シリーズ#8にて初登場したのが殺し屋である新ヴィラン、クラウン。
本名はカジミエシュ・カジミエルチャク。愛称はカジ。
元はサーカス団の子供だったのだが、幼少の頃に戦争でサーカス団そのものと両親を失い、弟とともに芸を披露しながら生きていた。
しかしその弟もまた戦争が原因で爆発に巻き込まれて死亡。
それからはマフィアに拾われ、殺し屋の仕事をしながら今日まで地獄のような日々を一人で生きてきた男である。

現状このホークアイ誌にしか登場していないんですけれども、道化師のメイクで淡々とターゲットの殺害を実行する不気味さを持ちながら、表の顔は社交界にも出席できる立場な好青年という真逆の顔を見せてくれる点が魅力なキャラクターです。
ただこの2巻では顔見せと彼のバックグラウンドの描写のみに留まっており、本格的に対峙するのはもう少し後な模様。

◆感想
面白い!
日常的な雰囲気と人情モノ要素、そしてヒーロー物的要素を絶妙なバランスで織り込み、また程々にユーモラスなシーンも挿入しているおかげでほんとサクサク読める作品です。
やっぱりこのフラクションのホークアイは面白いな!1巻に引き続きこの2巻もオススメ!

最後に収録されている、2014年のアイズナー賞受賞の傑作エピソードPIZZA IS MY BUSINESSピザ犬の冒険なんてもうアートを眺めているだけでも楽しい作品でした。

ピザ犬の冒険
クリス・ウェアのコミックを思わせる画面作りが面白い

ほぼサイレントで話が展開されていき、犬のラッキーが耳や鼻で感じ取った情報がアイコンとして表示されていく構成。
掴んだ情報をラッキーなりにつなぎ合わせて調査しているようなのですが、その一方で気になっている室内犬の元に寄り道しちゃったりとどこか行動が自由で笑ってしまう。
しかし作中で描かれる情報や展開はかなり重要なもので、話の続きが実に気になる。

解説書では「続刊の邦訳は未定」と記載されていますが、小プロ邦訳コミックの制作統括者・山本将隆氏のアカウントにて3巻の邦訳が決定している事がアナウンス済み!楽しみだ!

これはひょっとしたら最終話まで追いかけてくれる可能性もあるか……!?