ツルゴアXXX

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デアデビルマンウィズアウトフィアー表紙

『無論、彼の旅路は凄惨だ。失敗と罪悪感と苦痛に満ちている。
 当然だ。マット・マードックの人生に、容易な道などないのだから。
 しかし艱難辛苦の一つ一つが、
 貧民窟の悪戯小僧を正義の戦士に変えたのだ。
 凄惨な旅路。そこを歩む彼も完全無欠ではいられない。
 師が示した聖戦士の教団に彼が加わる事はない。
 しかし自分にできる事を全力でやった結果、彼はヒーローと呼ばれる。
 そして死ぬまで横暴と戦い続けるのだ』


YOU SHOULDN'T HAVE CALLED ME THAT.

コミックス史上にその名を刻む稀代のクリエイター、フランク・ミラー。
その彼が、自らの出世作であるデアデビルのオリジンを再構築した注目作が、本作『デアデビル:マン・ウィズアウト・フィアー』である。

ミラーにとって、最後のデアデビルとなる本作は、コミックにおけるリアリティを極限まで追求し、デアデビルというキャラクターをさらなる高みへと導いてみせた。

デアデビルにとってはアルファであり、オメガである本作は、ミラーが辿り着いたヒーローコミックスの一つの頂点である。


◆収録作品

1993年10月:Daredevil: The Man Without Fear #1
1993年11月:Daredevil: The Man Without Fear #2
1993年12月:Daredevil: The Man Without Fear #3
1994年01月:Daredevil: The Man Without Fear #4
1994年02月:Daredevil: The Man Without Fear #5


◆デアデビル誕生
Netflixにて独占ストリーミング中の海外ドラマ『デアデビル』
マーベル・シネマティック・ユニバースにも属している作品ということで気になって視聴している方も多いのではないでしょうか。

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現状シネマティック・ユニバースのヒーローは超人だらけなだけに
常人であるクライムファイター、デアデビルが新鮮に映る

かつて2003年にも実写映画になっていたデアデビルにもう一度注目が集まったことで、ドラマのストーリーの原案にもなったミニシリーズ『デアデビル:マン・ウィズアウト・フィアー』が邦訳刊行の運びになったのは凄く嬉しい。
デアデビルの邦訳ってめちゃくちゃ数が少ないのだ。

本作のライターは『バットマン:ダークナイト・リターンズ』『シンシティ』『ハードボイルド』、そして映画『ロボコップ2』の原案などを務めた事で有名な、ハードボイルド描写に定評のあるフランク・ミラー。
しかもデアデビルはミラーが一時期ペンシラーやライターを手がけて人気を大きく押し上げた、まさに氏の出世作ともいえるコミック。
『マン・ウィズアウト・フィアー』はミラーが2015年現在最後に執筆したデアデビルとなっています。
ミラー最後のデアデビルがオリジンのリメイクというのが締めくくりとしてはピッタリ。
それではあらすじをざっくりと紹介。

◆THE TALE IS THE ALPHA AND THE OMEGA
盲目の老人を救おうとして放射性物質を積んだトラックと交通事故に遭い、自らも盲目となってしまった少年、マット・マードック。
目が見えないという現実に打ちひしがれ、絶望に苛まれるマットだったが、そんな彼の前に謎の人物……生まれつき全盲だと語るスティックという男が現れる。
彼は盲目でも自由に、いやそれ以上に行動できるよう鋭敏に動ける訓練をマットに授けた。
加えて高い戦闘術までも指南され、高校生となった今のマットは弱虫のガリ勉とからかわれては衝動的に反撃するただの命知らずデアデビルではなくなっていた。

一方、息子を養っていくためにやむなくギャングと手を組み、普段は八百長を行ったり街に出てみかじめ料を取り立てる仕事をしている心優しいマットの父、プロボクサーのジャック・マードックは、ある日の試合で息子に誇り高い戦士としての姿を見せるためだけに、八百長を促したギャングに逆らって見事KOを勝ち取る。
だが、その後会場を出たジャックは出口で待ち受けていたギャングによって凄惨なリンチを受け、最後には銃で殺害されてしまうのだった。

モルグで父の亡骸を見つめ、氷のように冷たくなった肌に触れるマット。
だが、マットの腹の底で膨らみつつある塊はそれより遥かに冷たかった。

ギャングに報復するマット

父を殺したギャング達を一人一人追い詰め、見事復讐を果たしていくマット。
だが、その過程でマットは罪のない女性を巻き込み死亡させてしまう。
感情的になりすぎた結果招いた悲劇。マットは「人を殺してしまった」という罪の意識に強く苛まれ続けることになっていく……

それから一年。
大学生となったマットはコロンビア大学の法学部に在籍、親友のフォギーと共に弁護士を目指し、法で悪と戦うために日々勉学に打ち込んでいた。
かつて自分が法を破り暴走した結果痛ましい悲劇が起こったあの出来事は、未だ秘めたるトラウマとして彼の心の中に残っているのだ。
そんなある日、マットは同級生の美しい女性、エレクトラと出会い、そのワイルドで向こう見ずで情熱的な性格に惹かれはじめていく。
互いに笑いつつ舞う、最高の遊び仲間。
幸せを享受するマット・マードック。
だが彼は知らなかった。エレクトラが強い暴力衝動を持つ邪悪な女性だという事を……

5人も殺害したエレクトラ

◆感想
傑作だこれ……!
少年時代の出来事がきっかけで暴力衝動を抑えこもうとしても、結局エレクトラとの出会いやその後に起こるある誘拐事件をきっかけに、自身の持つ本能や正義感に突き動かされて戦いの中に身を投じるデアデビルの姿が渋すぎる。
フランク・ミラーの作品はナレーションやモノローグがやたら多くて「小説かな?」って感じなんだけど、このセリフ回しがまた印象に残るものばかりでスラスラ頭に入るんだこれが。

『ニューヨーク。変わらぬその名に変わらぬ感情が湧く。
 そして甦る記憶。校庭であざ笑ういじめっ子。逃さないぞ、と街が吠える。
 逃げられないぞ、お前自身からは。いかにも、マットは帰ってきた』


デアデボー第4シリーズより

デアデビルといえばやっぱりこの悪魔のような外見のコスチュームが印象的なんだけど、本作ではこのコスチュームは本編ラストの見開きまで登場しません。
序盤から終盤まで本作のデアデビルは粗雑な被り物や馴染みの薄い即席の黒装束に身を包んだ姿で戦い、最後の最後にお馴染みのコスチュームを描くというのが実にナイスな演出だと思う。
でもスーツ姿や地味な黒装束で戦う姿もこれはこれでカッコいいな……

ちなみに上記のあらすじで「マットは罪のない女性を巻き込み死亡させてしまう」とは書きましたが、後のエピソードでこの女性はビランとなって再登場を果たしちゃったりしています。
アメコミはすぐ後付けで復活しちゃう~!まあ本作だけを読む分にはあんまり気にしなくていいけども。

あ、そういえばフランク・ミラーの『デアデビル:ボーン・アゲイン』通販限定で再販されるみたいっすよ(さも今思い出したかのように)。
【デアデビル:ボーン・アゲイン発売日:2015年12月15日(Fujisan.co.jp)】

ずっとプレ値がついてた邦訳だったけどこの機会にみんな読めばいいと思う。これも傑作だから!

悪魔デアデビル

ジークンドー表紙
サンニンヨレバマッドネス。

インデペンデントな著者3人が大いなる因果に導かれ結成した合作サークル『ジークンドー』。
ホラー、ラブコメ、百合、ゾンビ…、あらゆるテーマのショートストーリー全27編収録。
愛と狂乱と夢想にあふれた混沌極まる競作集、ここに単行本化!!!!!!!!!!!!!!!!!!


◆収録作品。

ゴアゴアガールズ
ゴアよん
干しぶどうは血みどろ
ななななっ!
コワコワ
腸語
ゆりかもね


◆奇跡之異色競作短篇集。
G=ヒコロウ、雑君保プ、道満晴明という個性が強すぎる3人の漫画家で結成された同人サークル『ジークンドー』
3人のペンネームを合体させると「ジークンドー」になるというのは地味にすごい。

「ジークンドー」は毎回ちょっとしたコンセプトを決めてそれぞれがオリジナル作品を発表している合作サークルであり、本書はこのサークルが発表した同人作品を一冊に纏めてしまったという本。
さすがに全作収録しているわけではなく、比較的新しい「モノノノケ」と「機機械械」は未収録となっています。

【サークル「ジークンドー」作品リスト】

で、まあ本書は色んな短編漫画が楽しめる一冊で、基本的にはコメディが多くちょいちょいホラー作品がといったバランス。
僕は完全にヒコロウ先生の作品目当てに購入しました。今回は同人誌の再録なだけですが超久々な商業での新刊なんだもの。

※過去記事
【ギャグ漫画家『G=ヒコロウ』先生の魅力的な作品群】

マジョカンノン
同級生みくらの怪光線を浴び、腕に謎の文字が一文字ずつ浮かぶようになった主人公たち
それは全ての文字が浮かぶとその存在に変身してしまうというクッソカオスな呪いだった

まあ相変わらず「何食ったらそんな発想が出てくるんだ」って感じのギャグ漫画ばっかりでしたヒコロウ先生の作品。

それと近年ヴォイニッチホテルなどの作品で注目を集めまくっている道満晴明先生。
落ち着いた雰囲気とほんのりシュールないつもの作風の短編がたっぷり堪能できます。
この人の持つ独自の画風も新声社のアンソロ時代から大好き。

アナの一日

◆感想。
元々それぞれが同人という枠内で自由に描いているというだけあって、ストーリー性をうっちゃったりとにかく謎テンションで進行していく不親切な作品が多い印象があります。
まあ商業でもわりとそんな感じなんだけどねこの人たち!それが一番の魅力だし!
ただ後年の作品になるほど読みやすい作品が増えてきてます。ヒコロウ先生はパロディネタのチョイスとか支離滅裂な話の流れで勢いでもっていく相変わらずなノリだけどちょっとは普通にホラーやってる作品もあったり。

というかホラー系の作品はどの先生も普通に面白いです。特に雑君保プ先生の「三人のエンジェル」はちょっとカオスな明るい萌系コメディに見せかけつつ、オチに向けての伏線の張り方が実に上手い。たった8ページの短編なのにすごい。ゾッとした。

三人のエンジェル

雑君先生が三人の中では(比較的)真面目な漫画を描いているのに驚く。
本書には人外娘があれこれして活躍する作品もけっこう多いんで、人外娘スキーな人にはそこそこオススメしたい一冊です。
ただ肌に合うかどうかは一切保証しません!元々ハマる人を選ぶタイプの漫画家ですしこの3名。

ちなみに本書、どうも調べてみると同人誌版から未収録のイラストやあったりセリフの修正があったりするようなんですが、僕は同人誌版は未見なんであまり気にならなかったかなー。いやちょっと嘘だけど。未収録イラストとかは見てみたかった。
ただ逆に加筆されてる箇所もあるみたい。

あとヒコロウ先生の個性的な手書き文字がフキダシ内では写植に差し替えられていて、まあこの方が読みやすいのは確かなんだけど少し寂しい。
あえてそのままにしているっぽい箇所もありますが。
ヤング・マーベルリトルアベンジャーズ VS リトルX-MEN表紙
アベンジャーズとX-MENがあかちゃんになっちゃった!
おおげんかがはじまるけど、AVXとかっておとなのおはなしとはかんけいないよ。
おとなはこんなえほんかわないもんね!

THE CHILDEN OF THE ATOM MEET THE MITEY 'VENGERS!

人類の命運を左右する激闘を繰り広げたアベンジャーズとX-MEN。
そして今、両者の新たな戦いが幕を開ける!

A-ベイビーズとX-ベイビーズが激突する『A-ベイビーズ VS X-ベイビーズ』をはじめ、視聴率大魔王モジョーに造られたX-ベイビーズが活躍する『X-ベイビーズ:マーダラマ』『X-ベイビーズ:リボーン』。
さらには、オフビートな短編に、話題のアーティスト、スコッティ・ヤングのカバー集まで網羅したとびきり“カワイイ”マーベル、ここに登場!


◆収録作品

1990年10月:Marvel Age #93
※情報誌「Marvel Age」からはフレッド・ヘムベックの見開きイラストのみ収録。
1998年01月:Marvel Vision #25
1998年02月:Marvel Vision #26
1998年03月:Marvel Vision #27
1998年04月:Marvel Vision #28
1998年05月:Marvel Vision #29
1998年06月:Marvel Vision #30
※情報誌「Marvel Vision」からは各短編コミックのみ収録。
1998年08月:X-Babies: Murderama
2000年01月:X-Babies Reborn
2012年12月:A-Babies vs. X-Babies


◆関連作品過去記事
【X-MEN4巻 異次元人モジョー】
【AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND1】
【AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND2】
【AVX:アベンジャーズ VS X-MEN VS】

◆MAKE KAWAII MARVEL!
ちびきゃらなアベンジャーズとX-MENが対決
はいカワイイ!!

基本的にシリアスな作品が多いマーベル作品群から現れた癒し系タイトル『A-Babies vs. X-Babies』!!
タイトルやシチュエーションを見ての通り、2012年のアベンジャーズとX-MENが対決してしまうクロスオーバー『AVX:アベンジャーズ VS X-MEN 』のパロディ的な一作であり、当然世界観も本編とは無関係なもの。

大事にしているクマのぬいぐるみのバッキーベアをとなりの家のサイクロップスに奪われたキャプテン・アメリカがぬいぐるみを救出するためだけにアベンジャーズを招集し、サイクロップス率いるX-MENの面々と大げんかをするというハチャメチャかつシンプルな一編。
アーティストは日本人のグリヒルという方。
Gurihiru.com【グリヒルホームページ】

グリヒル氏の描くちびキャラはカートゥーンチックなデフォルメと日本漫画的な表情の描き方が絶妙にマッチしていてもうホント……ホントかわいい(2回目)。
グリヒル氏はかつてアメコミ情報サイト『Planet Comics.jp』上で「ヒーロー荘の人々」という4コマ漫画を連載していたため、そこで知った人も多いかもしれない。

さて、本書『ヤング・マーベル:リトルアベンジャーズ VS リトルX-MEN』はさすがに全168ページすべてが『A-Babies vs. X-Babies』というわけではなく、これまでに発表されたデフォルメキャラが活躍するエピソードをかき集めた一冊となっています。
『A-Babies vs. X-Babies』以外の収録作品はほぼ90年代の作品ばかりでありやや古め。

『X-Babies: Murderama』『X-Babies Reborn』はTVの視聴率が権力に繋がる異次元世界、モジョーバースを舞台にした作品。こちらのアーティストはジュボン・J・カービーという方です。
ちびキャラなX-MEN「X-ベイビーズ」が活躍するというエピソードなのですが、彼らは本来の世界のX-MENとはまた別の存在であり、実はこの世界の支配者モジョーにより視聴率のためだけに造られた人造人間であるというクッソハードな設定に注目。
ほのぼのとしたケンカをしていた「A-Babies vs. X-Babies」とは違い、こちらはガチで命がけの冒険と戦いを繰り広げています。
デフォルメ系のアートなのにやってることは普段のシリアスなアメコミだ。
(しかもチビなのはX-ベイビーズらだけ)
当たり前ですが先程紹介した『A-Babies vs. X-Babies』とは世界観やキャラに一切繋がりはありません。

設定が重いベイビーズ
自分に逆らうX-ベイビーズに対抗するために
モジョーはA(アベンジャーズ)-ベイビーズまでも生み出して対決させる
この作品は本家X-MEN絡みのエピソードでもあるので基本的にシリアス寄り

◆マーベルビジョンのネイモアさん
マーベルの情報誌「Marvel Vision」に掲載されていたオルタナティブコミックスの作家スティーブ・ウェイズマンによる短編コミックスもいくつか本書には収録されています。
その中からネイモアさんが登場する1シーンをペタリ。

クソガキだこれ

クソガキだこれ。

◆感想
ぶっちゃけると純粋にKAWAIIくてユーモラスな作品は『A-Babies vs. X-Babies』くらいで、他の収録作品はややクセが強い印象が(個人の感想です)。
普段とは違うノリの作品がたっぷり読めるので、そういうのを求める方にはオススメかな?
それと今回はスコッティ・ヤングを中心としたアーティストのカバーアートがたっぷり40ページ以上も収録されており、イラスト集としても楽しめる側面があったりします。
邦訳の表紙にもなっているスコッティ・ヤングのカワイくて少し小憎たらしいちびキャラは大好き。

ちなみに本書に出てくる日本人アーティストはグリヒルさんだけではなく、あの格闘ゲーム『ギルティギア』シリーズの公式イラストを手がけておられる岩崎恵美子氏のカバーアートも収録。
(「X-Men Unlimited #50」より)
アメコミ関係のお仕事をされていたとは知らなかったんでかなりビックリしました。

岩崎恵美子X=MEN