ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

13 2013

少年画報社のスーパーマン

今回のアメコミ記事は翻案漫画
翻案漫画として発表された日本人の漫画家によるアメコミ作品は何気に数多くありますよね。

有名な所だと、池上遼一先生による本家に負けないぐらい暗いストーリーを展開するスパイダーマンとか。

ikegamispider.jpg
舞台は日本に、主人公も日本人に変更されておりかなり設定がアレンジされている

有名テキストサイト『a Black Leaf』様でも本作が紹介されているので、気になった人はこちらの記事をチェックするといいかもしれません。
【スパイダーマン 池上遼一版】

他にもマーベル作品の翻案漫画は数多くあります。

桜多吾作先生によるムーンナイト
(タイトルは月光騎士
【月光の騎士 ムーンナイト】(※『Spider-Manブログ』様)

西郷虹星先生によるハルク
【ハルク(西郷虹星)】(※『UNKNOWN』様)

別冊コロコロに掲載されていた上山徹郎先生によるX-MEN

ジュビリー

別冊コロコロSpecialに掲載されていたビリー・タチバナ先生による作品もアリ。

タチバナ版ローグ


あと、DC作品ですとバットマン
バットマンも様々な翻案漫画が発売されていたように思います。
あの『トガリ』の作者、夏目義徳先生が書かれた『バットマン~デスマスク』

夏目バットマン
舞台が日本となる作品だとか



実際に『UNCANNY X-MEN』のアーティストを務めたり、一枚絵の仕事を引き受けることもあるという麻宮騎亜先生の『BATMAN CHILD OF DREAMS』

asamiyabatman.jpg
ゴッサムに数々のヴィランの偽物が登場するが、いずれも変死を遂げるという怪事件が起こり、
バットマンが調査に乗り出すというストーリー


そして、バットマンの翻案漫画で外せないのが桑田次郎(現・桑田二郎)先生による作品!
あの『8マン』を描かれた方ですよ!

1966年のアダム・ウエスト版バットマンの日本放映に合わせる形で発表された作品です。

kuwatabatman.jpg
原書のストーリーをベースに制作していたとか 迫力のある作画が素晴らしい一作なんですって

本作でインパクトがあるのが死神男というヴィラン。
彼は元々は1960年の『Batman #180』にて一発キャラとして『Lord Death Man』という名前で登場していたのですが、桑田次郎バットマンで死神男として拾われたという経緯があります。
そしてなんと2010年の『Batman Incorporated』の第1シリーズにて死神男はまさかの復活。
死神男は長い長い時を経て、名ヴィランの地位に返り咲いたわけであります。

batman#180
元々一度きりの使い捨てヴィランだったのに大出世ですね!

そんな味のあるヴィランが暴れまくる桑田次郎バットマン、一度は読んでみたいのですが国内では一度も単行本になっていないのだとか。
(厳密には『枚方映研』という様々な入手困難作品を単行本化していた同人グループが本作も単行本化していたらしいのですが、無許可で復刻していたのが問題になったらしく今は活動していないようです。著作権的にはアレですがちょっと惜しい話)

ただ、なんと海外では『Bat-Manga!: The Secret History of Batman in Japan』として復刻済み。

batmanga.jpg
左がペーパーバック版 右がハードカバー版
ハードカバー版の方がページ数が多い

洋書なので当然全て英語になっているんですけどね。
これ邦訳してほしいなぁ。いや元は日本の作品なんですけど。でもバットマンは外国の作品で…なんかややこしくなってきた。

 

また、この桑田次郎版バットマンは『バットマン:ブレイブ&ボールド』51話でアニメにもなりました。

2013y01m20d_200602788.jpg

2013y01m20d_200656722.jpg

2013y01m20d_200713989.jpg

ちなみに去年までアダム・ウエスト版バットマンは権利関係で色々もめていたそうなのですが、ようやく解決し、ワーナーのコンシューマ・プロダクツ部門が商品化の展開を進めているのだとか。
これに乗っかる形で日本でも復刻版が出たりしてほしいところです。
他にも翻案漫画は数多くあるのですが、前置きが長くなるのでこの辺にして、つい最近購入した永松健夫版スーパーマンの紹介をしたいと思います。

少年画報スーパーマン表紙

少年画報社から1959~1961年にかけて全14巻が発行されていたというスーパーマンの漫画。
今回は2巻と4巻を入手しました。お値段は1冊4000円ほど。
正直普段プレ値がついている本はあまり買わないのですが、たまに古書店の通販に挙がるともっととんでもない値段がつけられている事が多い本なのでちょっと思い切りました。

ていうか中古価格だけならジャイブ発行のアメコミの方がよっぽどヤバいんですよね。
何あの値段。

で、この少年画報社版スーパーマンですが、なんとこの本作者名が全く記載されていません。
このままだと謎の本で終わりそうな感じなのですが、後にマーベリック出版から発行された月刊スーパーマン7号にこの本の詳細記事が書かれていました。
(記事そのものは過去に書いた『月刊スーパーマン』のエントリでスキャンしたものを貼っているのでそちらで。)

で、この日本版スーパーマンですけれど、月刊スーパーマンの記事によると本作に関わったと判明している日本人漫画家は5名ほどなんだとか。
(実際に何名の漫画家が参加していたのかは不明)

あの黄金バットの作者・永松健夫先生。
一連の表紙を描いていたと思われているのが豊田稔先生。
復刻版黄金バットの表紙を描いていた丸山元博先生。
時代物の貸本漫画を描いていたという高田修先生…って4人やないか。

まあそういうのもあって、話によって結構スーパーマンの顔が異なっていたりするんですよね。

安定しない
さわやかフェイス(左)になったり憂いを帯びた表情(右)になったり

どうやら本書、左開きである原書を右開きの本に掲載するのは難しいと判断されたため、日本の漫画家の手でわざわざ絵と話を描き直してこの漫画を発行したとの事。
普通に邦訳するという発想にはならなかったのが不思議。
(やたら手間のかかりそうな方法を選んでくれたおかげで日本漫画らしく右から左に読めます)

ということは収録作品には元となったエピソードが存在すると思われるんですけど、この単行本にはそういう記載も一切ないので僕の知識では比較することができません…無念

内容ですが、シルバーエイジ期らしく、とにかく痛快なぐらい無敵なスーパーマンの姿が見ていて楽しい作品になっています。

ただ単純に強いだけでなく、
クラークとスーパーマンが同一人物ではないかと疑うロイスの目を逸らすために、自分そっくりのロボットをいつの間にか用意している天才っぷり、
時間よりも早く飛んで未来にワープするというタイムマシーンっぷり、
町に発生した霧を吹き飛ばすために造船所から鉄を借りて巨大な扇風機を発明する器用さ
図書館に行かずに自宅で自分の『遠くまで見渡せ透視もできる目』を使って本を読むという横着っぷりと、色々と完璧超人すぎる姿が面白すぎました。
本ぐらい直接出向いて借りろよ!

おおらかな雰囲気の話が多いので、基本どの話も読み終えた後なんかほっこりした気分になりました。
しかし有名ビランが全然登場しませんでしたけど。
月刊スーパーマンの記事によればレックス・ルーサーミクシィズピトルク(旧表記・ムクイズトブルク)とか色々登場するらしいんですけどね。

手に入れば他の巻も読んでみたいのですが…そうそう見つからないだろうし見つかっても値段がどんなことになっているかは分からないしなぁ。

…というわけで、この少年画報社のスーパーマンはアートが全て日本人漫画家の手により書き換えられているというのもあり、ちょっと変わった感じの邦訳本でした。
(一応邦訳という扱いでいいはずだよね?奥付にも日本語版って書いてあるし)

最後に、個人的にお気に入りのエピソードを紹介して〆たいと思います。
4巻より 緑の怪光線

スーパーマンが(クラーク・ケントとしてではなく)友人のロイスとジミーの3人で、サーカスの行列を見ていたという微妙に謎なシチュエーションから始まるエピソード。
元となっているのは1957年9月『Superman #116』な模様。

突然空から降り注いできた緑の光を受けたスーパーマンは、ふらふらとサーカス小屋のほうに歩きだし…

ピエロスーパーマン

なんと突然サーカスの団長にピエロをやらせてほしいと直談判。
ロイスの「わたしたちと展覧会にいくやくそくはどうなさるの?」という問いに対して「展覧会なんて知らないよ 僕はいまから舞台にでるのさ!」と一蹴。

ピエロのメイクと衣装に身を包んで、水に飛び込んだり空中ブランコを披露しようとしたりと、どうも様子がおかしい。

ピエロの離れ業を終えると正気に戻ったスーパーマン。
実はこの緑の光は、スーパーマンを思うままに操ろうと考えた発明家が製作した特殊な光線だったのだ!

緑の光の効果って
クッソ迷惑な発明

この迷惑な発明の力によって、街に貼られたポスターを見るたびにそれに影響されてしまうスーパーマン…
これに目をつけたのがギャングたち。
目の上のたんこぶであるスーパーマンを押さえるため、この緑の光を放射する機械を売ってもらおうと発明家の元へ。

即売却

あっさり商談成立。これは厄介な事になってしまいました。

あれやこれやと操られてしまうスーパーマン…

うぬぼれスーパーマン
『うぬぼれ者』という映画のポスターを見てうぬぼれ屋になるスーパーマン

月を作っちゃったスーパーマン
そしてその勢いで月をもう一つ作っちゃうスーパーマン

こどもスーパーマン
赤ちゃん用の玩具のポスターを見てしまい、幼児退行するスーパーマン

ギャングたちは、ボスが発明した『空気中に強い振動を起こす兵器』なるものを持ち出し、スーパーマンが正気を失ってぶらぶらしている隙に銀行強盗を行おうと画策する。

一方その頃、警視庁の警視総監室。

実は警部

なんとあの発明家の正体は警部だったのでした。
実はこれはギャングたちをおびき寄せるための作戦で、スーパーマンの協力を仰ぎ、わざわざスーパーマンを操る事の出来る緑の光を発明したとうそぶいていたのだとか。

そして案の状ギャングたちを釣ることができたと。
凄く回りくどい作戦ながら大成功ですね。

これは読めなかった。正直ホントに発明してたと思ってました。
古い作品だし話の展開が読みやすいなと思っていた僕が甘かったです。

そして銀行強盗を行おうとしていたギャングたちの元にスーパーマンが現れ一網打尽に!
かくして事件は解決したのでした。

オチ

めでたしめでたし。
余談ですが、この本の定価は100円
1958年に第1巻が出た本ですから、硬貨も異なる時代ですね。
邦訳アメコミの歴史は長い!
関連記事

11 Comments

久仁彦  

SUBARASHII!(ヒュー・ジャックマン風に)

以前これの全巻セットが10万円弱で売られているのを見かけた覚えがありますが、
紹介記事が読めるとは感激です。うぬぼれスーパーマン可愛すぎ。
ネット上で画像でしか見たことがありませんが、バットマンが手作りの特大ケーキを振舞ってくれるのも
このシリーズなのかな…?

2013/01/14 (Mon) 15:42 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>久仁彦さん
>全巻セットが10万円弱で売られているのを見かけた
『りへい書房』で出てた分ですかね?…と思ったけどもあれは不揃い合計12巻セットでした。
通販サイトとかで見てみると1冊7000~9000円程?の値段がつけられていたりするので、それより安く手に入ったのはラッキーだったと思ってます。(それでも高いけど)
ホントはこの本にはカバーも付いてる筈なんですけど…それで値段が下がってたのかなあ。
可能であればもっと他の巻も集めたいのですが、通販でもそうそう買えないとなるとかなり難易度高い!

>バットマンが手作りの特大ケーキを振舞ってくれるのもこのシリーズなのかな…?
そうみたいですよ~。
例の画像は『熱血アマゾン温泉』というサイト様の記事に貼られていたものが出回っているみたいですね。
ついでに、あそこのレトロ漫画紹介記事は読んでて面白いのでおススメです。

2013/01/14 (Mon) 19:50 | EDIT | REPLY |   

流浪牙  

SUPER-MANGA!

少年画報版スーパーマンは書き文字の類もちゃんと日本語化されてるので実に嬉しいですわい(挨拶代わり)。

とりあえずこの作品や桑田次郎版バットマンの復刊の問題点は
まず第一に復刊作品の値段高騰というのがあると推察出来るので
難しい所ですね(漫画本であんまり獲っちゃイカンですよ)。
あとはこの時代の漫画作品の画風や描写というモノを、ここ数十年間の漫画&劇画の
それに順応した我々にとっては今ひとつ馴染み辛く感じてしまう場合が
少なくないのも、また。実写映像作品や文章作品ならそのあたり、個人的に何とかなり易いんですけど。

あそこのレトロ漫画紹介記事は読んでて面白い
確かにその通りなのですが、70年代以降のバットマンの作風に対しては
余り良い評価してないようなのでチョット微妙な気持ちになったりするのです。
あとあちらは更新が見られないのでいったい、何があったのか心配でして……
ネット上だとこういう事がよくあるので遣り切れない

ついでにアメリカ作品は日本で基本的にそんなに改変したりはしないのですが
日本作品のアメリカナイズ化となると色々と複雑な気持ちにさせる事例が目立つらしいのはどうしたことかと

2013/01/24 (Thu) 22:30 | EDIT | REPLY |   

流浪牙  

追記。少年画報社版スーパーマンの感想。

少年画報版スーパーマンを読む前に言っておくッ!
                    おれは今 その内容をほんのちょっぴりだが体験した
                  い…いや…体験したというよりは まったく理解を超えていたのだが……
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『スーパーマンを操る緑の怪光線が作られたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったら実は犯罪者を誘い出すための策略だった』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人       『バットマンの一人称が"ぼく"だと思ったら
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ      スーパーマンに特大ケーキを振舞って普通に祝福していた』 
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ       な… 何を言ってるのか わからねーと思うが 
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ     おれも何が起きたのか わからなかった…
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \     頭がどうにかなりそうだった…
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    コミックスコードの副作用だとかセンス・オブ・ワンダーだとか
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  } そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ…
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…!!

2013/01/24 (Thu) 23:22 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>流浪牙さん
桑田次郎バットマン復刊で問題なのが値段とかぐらいなら「ちゃんと買うから是非復刊して!」と言えるのですが、単純に今出して売れるかどうかという話になると分からないですね確かに…
でも昔の漫画作品とは言っても、桑田次郎先生の絵は今見てもシャープで綺麗、かつ丁寧な画風なんで馴染みづらいという事は無いと思うんですよ!(桑田次郎アダルト短編集を読みながら力説)

>何があったのか心配でして……
あそこの管理人さんはいくつかブログを運営されているんですよ。
去年の12月あたりまで別ブログで自作のミステリー小説を発表してましたよ~。

2013/01/30 (Wed) 21:03 | EDIT | REPLY |   

No Name  

知ってますか?故水木しげるさんは、プラスチックマンを描いた事があるんですよ。

2016/03/18 (Fri) 06:54 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
今読むのは難しそう!……かと思いきや普通に復刊されて容易に入手できるんですね~。
いつか読んでみたい!

2016/03/19 (Sat) 21:10 | EDIT | REPLY |   

No Name  

No title

いつも楽しく読ませてもらってます。質問なんですけど別冊コロコロでxmenをかいてたビリータチバナって今どこで何をしているんですか?調べても全く情報が掴めないんです

2017/01/29 (Sun) 00:05 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
いやぁ…さすがの僕でも活動が確認できない人の現況は全く分からないです。さすがの僕でも。

2017/01/29 (Sun) 18:23 | EDIT | REPLY |   

あ  

No title

ここで紹介されてたハルクをかいた西郷虹星の消息がようやくわかりました!
彼は亡くなってるそうです。早見純という元アシスタントが証言してました。

2017/04/10 (Mon) 21:20 | EDIT | REPLY |   

No Name  

No title

最近日本人によってドクターストレンジがかかれましたが読みましたか?

2017/04/14 (Fri) 19:36 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment