“もし可能なら、彼は君にも問いかけたかもしれない。
なぜ我々は本性を否定して偽りの姿になろうとする?
宇宙は我々人類を利己的な獣として作った。
なぜ罪悪感を感じる?それを享受するのだ。
社会のルールやモラルが、我々の中にある可能性を抑圧しているのだ。
君も感じるはずだ。ルーサーが正しいと。
本当の自分になれ。真の自分を受け入れろ。それが彼の願いだ。
そして、正しい側に立て。
正義を捨てよ。破滅と手を組め”
新たなる時代の幕開け、
新たなる正義の始まり、
新たなる破滅への序曲。
スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュ、サイボーグ、グリーンランタン、ホークガール、マーシャン・マンハンター……彼らの名は“ジャスティス・リーグ”。
性格も違えば、能力も異なる9人のヒーローたちの共通点は、地球を守るという使命感を持っていること。その彼らが前代未聞の現象“総和体” に遭遇する。森羅万象の秘密を凝縮したエネルギー源である“総和体”がネバダ砂漠に墜落し、触れたものすべてを異形の存在へと変貌させてしまった。
その恐ろしくも膨大なパワーに惹かれる者たちがいた。レックス・ルーサーを中心に、ジャスティス・リーグの宿敵であるシネストロ、ブラックマンタ、チーター、ゴリラ・グロッド、そしてジョーカーが制御不能の同盟を結成した……彼らの名は“リージョン・オブ・ドゥーム”。
彼らは、おぞましい計画のために“総和体”を入手しようと動き出し、手始めに新たなるランタンの光を狙っていた。
ジャスティス・リーグ VS.リージョン・オブ・ドゥーム。ヒーローとヴィランが激突する新たなる時代が、ここから始まる!
◆関連作品過去記事
【バットマン・メタル:プレリュード】
【バットマン・メタル】
【バットマン・メタル:ライジング】
【ジャスティス・リーグ:ノー・ジャスティス】
◆収録作品
2018年08月:Justice League Vol.4 #1
2018年08月:Justice League Vol.4 #2
2018年09月:Justice League Vol.4 #3
2018年09月:Justice League Vol.4 #4
2018年10月:Justice League Vol.4 #5
2018年10月:Justice League Vol.4 #6
2018年11月:Justice League Vol.4 #7
◆The Totality
ジャスティス・リーグの新たな物語のプロローグである、『ジャスティス・リーグ:ノー・ジャスティス』の邦訳を挟み、スコット・スナイダー&ジェームズ・タイノンIVという実力派ライター2名によるジャスティス・リーグの第4シリーズ邦訳刊行がいよいよスタート!!
ちなみにこのジャスティス・リーグではメインストーリーは基本的にスナイダーが担当していて、タイノンは一部のエピソードを手掛けるサポート役を担っています。
バットマン第2シリーズ完結によるスナイダーバットマンロスに喘いでいたところに、実質的な第2シリーズ追加エピソードなスナイダーの『オールスター・バットマン』が完訳され、続けてスナイダーによるクロスオーバーイベント『バットマン:メタル』シリーズの邦訳と、新たなジャスティス・リーグの物語のプロローグ、『ジャスティス・リーグ:ノー・ジャスティス』も邦訳され、ついにこの第4シリーズ第1巻『ジャスティス・リーグ:新たなる正義』が登場!!
本格的にスナイダージャスティス・リーグの刊行も始まったのは本当に嬉しい……!というかスコット・スナイダー絡みのタイトルはかなり邦訳に恵まれてますね。
物語の前提として、まずこの世界は『バットマン:メタル』の戦いでマルチバースを隔てている次元の壁『ソースウォール』が破られてしまっており、外宇宙からの脅威にさらされ続けている状態というのがあります。
第4シリーズのプロローグ的な作品である『ジャスティス・リーグ:ノー・ジャスティス』では、このソースウォールの向こう側、旧宇宙の深淵に存在していた『オメガ・タイタンズ』という宇宙存在と戦うことになり、各ヒーローと各ヴィランが一時的に手を組んでなんとかこれを退ける事に成功。
そしてジャスティス・リーグの新メンバーにホークガール、チームの
マンハンターはリランチ前の世界ではジャスティス・リーグの代表的なメンバーの一人だったので、2011年にニュー52が始まり、この2018年の第4シリーズまで来てようやくリーグに加入したというのがなんとも感慨深い……!!
本作『ジャスティス・リーグ:新たなる正義』は、前述したソースウォールのエネルギーを含んだ
この総和体は解読不能な謎の信号を発しており、地球に無限の力を与えるか、もしくは人類を絶滅させる可能性を秘めている。
ジャスティス・リーグはグリーンランタンのジョン・スチュワートにも協力を依頼し、末期状態の多元宇宙を救う鍵かもしれない総和体の詳細を探るために出動する。
しかし、この総和体を奪取するために動き出した一つのヴィランチームがいた。
クロスオーバーイベント『フォーエバー・イービル』以降、長らくヒーローとして活動していたレックス・ルーサーが『ノー・ジャスティス』のラストで示唆されていた通り、ここに来てヴィランに再転身。
既に故人である父親ライオネルの足跡を辿り、ようやく見つけ出した秘密の建物内に保管されていた書類から宇宙の奇妙な歴史……大いなる力の総和体の襲来と新時代の終焉を把握したルーサーは、この総和体を制御するために“宇宙の7つの秘力”を解放し、全宇宙の力を支配するという計画を成功させるため、シネストロ、ブラックマンタ、チーター、ゴリラ・グロッド、……そして制御困難な狂人ジョーカーという、各ヒーローの宿敵達と手を組んで『リージョン・オブ・ドゥーム』というチームを結成、ジャスティス・リーグと激突するのであった!!
ちなみに、この『リージョン・オブ・ドゥーム』というヴィランチームはリランチ前の世界やエルスワールド物でもよく用いられていたチーム名なのですが、もともとはハンナ・バーベラによる70年代のアニメ『スーパーフレンズ』が初出であり、コミックの正史世界でこのオリジナル寄りのメンバー構成となったリージョン・オブ・ドゥームが出るのは今回が初となるんだとか。
【Legion of Doom (Super Friends) | DC Database | FANDOM powered by Wikia】
【Legion of Doom | DC Database | FANDOM powered by Wikia】
◆感想
この第1巻はストーリー的にはまだ色々伏線を張っておく準備段階といった感じで、「これ!」というような目玉展開はそこまでかも。とはいえ第1巻から各ヒーローの宿敵勢がチームを組み、ジャスティス・リーグと対峙する展開はシンプルに熱いですが!
ジェフ・ジョーンズのジャスティス・リーグのように「ストーリーはテンポ良くかつ分かりやすく、そしてどんどん読者のテンションが上がる贅沢な展開を繰り出しまくる!」って構成ではなく、これまでのスナイダー作品同様、後になって大きな意味を持ちはじめる描写を早い段階でばら撒いておき、密度の濃い設定を詰め込みまくって今後のよりスケールの大きい展開に繋げていく……という形でじっくりと描いている印象です。
(ジェフジョンのジャスティス・リーグが大好き過ぎるので、第3シリーズのレビューの時みたくいちいち比較しちゃうのを許してほしい)
物語は超常現象や多元宇宙が絡み、常識では計り知れない超存在や概念が飛び出しまくるにも関わらず、作中の登場人物はどんな状況も理解して的確に対応・行動する一方で、読者としては展開や会話・単語の意味を理解するのもやや一苦労だったり。久々に各キャラクターが高次元な会話を繰り広げまくる作品を読んでしまったので少々疲れた……。
そういうのもあって今回のジャスティス・リーグの作風は、ちょっとMARVELのジョナサン・ヒックマン版アベンジャーズっぽいなぁと読んでて思ったり。
余談ですが、プライムアースでも『コズミック・オデッセイ』での物語は展開していた事がさりげなく作中で触れられており、この世界でもジョンは惑星ザンシ絡みの出来事をずっと引きずっている模様です。
『あの出来事』によるジョンとマーシャン・マンハンターの間にあるわだかまりもまだ解消されておらず、地味にこの第1巻の物語の重要な要素の一つになっていたり。まさかここに来て『コズミック・オデッセイ』のちょっとしたアフターストーリーも拝めるとは思わなかった。
他にもプライムアースでは存在していないはずの初代スターマンの姿が一瞬描写されるなど、ニュー52以前のエピソードやキャラクターもさらっと組み込まれる事が増えてきたあたり若干新規層向けな作りからは離れていますが、まあその辺は解説冊子でもフォローされているのでそっちを読み込んで補完していくと良いかも。
もちろん予め知識を仕入れておくか、もしくは実際に読んでおくかで物語の没入感も変わってきますが!
第1巻のラストでは、『バットマン:メタル』で姿を見せた“あのキャラクター”2名が登場して次巻への期待を煽ってくれます。片方はメタルの#1でホントにちらっと出てたレベルのキャラなんですが、皆覚えてるかな……!?
このスナイダー&タイノンコンビのジャスティス・リーグは#39まで続く(当初は「50号以上続くサーガになる」と告知していた)予定らしいので、邦訳もそこまで追いかけてほしいところですね。
【SCOTT SNYDER Exiting JUSTICE LEAGUE in January】
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