ツルゴアXXX

ひっそりと運営しているチラシの裏ブログ。

05 2016

アイアムアヒーロー

映画アイアムアヒーロー予告編アイアムアヒーロー
2016年【日】


鈴木英雄35歳。職業:漫画家アシスタント。彼女とは破局寸前。
そんな平凡な毎日が、ある日突然、終わりを告げる……徹夜仕事を終えアパートに戻った英雄の目に映ったのは、彼女の「異形」の姿。一瞬にして世界は崩壊し、姿を変えて行く。謎の感染によって人々が変貌を遂げた生命体『ZQN(ゾキュン)』で街は溢れ、日本中は感染パニックに陥る。標高の高い場所では感染しないという情報を頼りに富士山に向かう英雄。その道中で出会った女子高生・比呂美と元看護師・藪と共に生き残りを賭けた極限のサバイバルが始まった……
果たして彼らは、この変わり果てた日本で生き延びることが出来るのか。そして、英雄は、ただの英雄(ひでお)から本当の英雄(ヒーロー)になれるのか!?

花沢健吾による同名の漫画『アイアムアヒーロー』を原作としたゾンビアクション映画。ベースとなっているのは原作の1巻から8巻のアウトレットモール脱出までという結構なボリュームなんですが、2時間の尺に収まるようそこは色々設定や構成などが上手くアレンジされております。
主人公の英雄の妄想の友人・矢島の登場が無くなっていたり、彼女の徹子が英雄の理解者的立場ではなくなっていたり、ヒロイン、比呂美の過去に関する言及がほぼほぼ無かったりと、原作では必要だけど2時間弱の映画では尺やテンポの都合もあって不要かもしれない要素を色々排除、その分わかりやすく爽快なエンターテイメント性に全力を注いだ作りになっています。

一番驚いたのは「邦画でもここまで洋画と張り合えるゾンビ映画が作れたんだ」という点。CGと特殊メイクのクオリティは一級品だし、作中で『ZQN』と呼ばれているゾンビ達の不気味過ぎる言動やありえない動き、そしてその素早さからなる恐怖感も凄まじかった。
あとR-15なだけあって結構グロいのよね。原作コミックはZQNのデザインこそ気持ち悪いけどスプラッタ要素は意外と薄かったりするんですが、この映画版は容赦なくモツと血が飛び交いまくる!!
本作は英雄を演じる大泉洋を筆頭に、どの俳優陣も演技力が高いのでほんと満足。

ただ原作がまだ未完結である以上、この映画もかなり中途半端な終わり方をしてしまうのがネック。2016年11月時点で未完なので、今回こういうパンデミックが起こった原因が全く語られないままエンディングに突入しちゃう。まあこれは仕方ないんだけども。ここまで原作の雰囲気を再現しておきながら完全オリジナルのオチを付けるってのもアレだしね……
でも説明不足のまま流れで終わるってのもある意味ではゾンビ映画らしいかも(小声)。

とにかく、原作ファンにも原作未読の人にも強くオススメできるゾンビ映画なのは間違いない。是非観てみて!そして原作コミックも超面白いので読んでみて!

あとはアレかな、お笑いコンビのメイプル超合金がカメオ出演しててビックリした。それとアイアムアヒーローとdTVの連動企画でこういうミュージックビデオも作られてたとか。


映画の内容とはかすりもしないけどメイプルZQN合金の登場パートはちょっと好き。

ネメシス表紙

「すご腕本部長殿…お前の死亡時刻を告げるカードは受け取ったかな?
 ワシントンは東京と同じ運命を辿るだろう。
 ただ、今回の計画にはちょっと思い入れがあってね。
 そう…少年時代の復讐とでも名付けようか。
 アンダーソン家の面汚しが帰ってきたぞ。
 お前に守られているウスノロどもを焼き尽くしてやる。
 諸君、あんな男に治安を任せていいのか?天下の大統領閣下すら守れなかった男だぞ?
 見ろ。新しい支配者の誕生だ」


“ネメシス、お前は何者だ?”

強靭な肉体、莫大な資産、そして邪悪極まりない頭脳……スーパーヴィラン“ネメシス”にはすべてがあった。世界中の有能な警官を次々と葬り去ったヤツが次に狙いを定めたのは、ワシントンD.C.のブレイク・モロウ本部長。しかも、今回の標的はヤツにとって特別な意味があった。大胆かつ卑劣な作戦で、アメリカ全土を混乱に陥れるネメシス。肉体と精神の限界に挑むかのような攻防戦の行方は……?

『キック・アス』『ウォンテッド』のヒットメーカー、マーク・ミラーが『シビル・ウォー』のスティーブ・マクニーブンと再びタッグを組んでおくる、究極の悪のヒーロー譚。


◆収録作品

2010年05月:Nemesis #1
2010年08月:Nemesis #2
2010年11月:Nemesis #3
2011年02月:Nemesis #4


◆SHOOT STRAIGHT, @*%HOLE!
今回レビューするのは非マーベル・DCコミックスのこの作品、『ネメシス』!!
ここんとこ読んでるアメコミはずっとマーベルかDCだったのでそれ以外のレーベルの作品を読むのはほんと久々。といっても本作が発表された『アイコン・コミックス』というレーベルはマーベル傘下なんですけどもね。
ライターは『ウォンテッド』、『キック・アス』、『キングスマン』など、執筆する作品がばんばん映画化されていく乗りに乗っているベテランライター、マーク・ミラー!
アーティストにはマーベルのクロスオーバーイベントである『シビル・ウォー』でコンビを組んだスティーブ・マクニーブンを迎えるという万全の態勢。
このコンビで描かれる『ネメシス』は一体どういう作品なのかというと……『もし、バットマンがジョーカーだったら?』というコンセプトで制作された、悪人である主人公ネメシスが圧倒的な力で人々を恐怖に陥れ続けるという単純明快かつ内容が陰惨すぎるコミックです。

ネメシスコンセプトアート
当時告知用として発表されたイラスト
主人公ネメシスがジョーカーを連想させる口を描いている

上記のあらすじでは『究極の悪のヒーロー譚』とアンチヒーローを思わせるようなコピーが用いられているのですが、ネメシスは明確にヴィランです。それも悪趣味が過ぎるド外道といっても過言ではない。ただただ警察や国家に喧嘩を売り続けている世界の敵であり、何より高すぎる戦闘能力と圧倒的な資金力を持っているだけに質が悪い!
たった一人の警部を殺害するために高層ビルを爆破し、電車の線路上で動けなくして轢殺した後は〆に乗客ごと電車を高架線路から落として虐殺するという趣味の悪さ。目標を殺害するためなら無関係の人間がどれだけ巻き込まれようと一切構わないスタンスなのだ!ここまでやるヴィランはなかなか見たことないぞ……

そんなネメシスが次に目を付けたのはブレイク・モロウ本部長という腕利きの警官。
一体何が真の目的なのか、ネメシスは大統領を人質に取り、彼に大勝負を仕掛けるのだった。ネメシスの居所を突き止めないと彼の気まぐれで無関係の人間が次々に殺害され続け、大統領も危険にさらされる。ブレイクは様々な策を練り、ネメシスを追い詰めんと画策する……と、この二人の長々と続く命懸けの戦いが本作のメインストーリーとなります。
果たして勝利するのはネメシスなのか、ブレイクなのか……?

ここはペンタゴンだぞ

実は本作もキングスマンやキック・アスなどのように、『トップガン』、『アンストッパブル』のトニー・スコット監督による映画化が決定していた……のですが、進展が無いまま監督が鬼籍に入ってしまったのでどうなるのかは不明な模様。
【TONY SCOTT TO DIRECT MILLAR AND MCNIVEN’S NEMESIS ADAPTATION】

◆ORIGIN OF NEMESIS
資産家であるアンダーソン家に生まれた少年マシューの人生が狂い始めたのは20年前。
少女連続失踪事件の犯人がアンダーソン家である事を突き止めたブレイク・モロウは部下と共にこの家に踏み込むが、警察の追求を恐れたマシューの父親は自殺してしまう。マシューの両親は15年前から裕福な友人たちを集めては家出娘を獲物に狩りをするという狂った遊びに興じており、その事実が警察の手によって事件が明るみに出た事でアンダーソン家はバラバラになったのだった。
マシューは全てを失い、品行方正な叔父に父の総合電機メーカーとともに引き取られる事となる。

その後賛美歌の練習とマナーを重視される世界に飽きた彼は家出して世界を放浪し、裏社会に潜り込んで犯罪のイロハを驚くべき勢いで吸収していく。
12歳でギャングを束ね、15歳の若さでアジアのドラッグ王となり、23歳になる頃にはゾロアスター系の殺人教団を率いるまでに成長し、母の遺志を叶える準備を整えていた。

「お願い、あの小賢しい警官を破滅させて。ブレイク・モロウがすべてを台無しにしたのよ」

こうして警官を、そしてブレイク・モロウを殺害することを生きがいとするスーパーヴィラン、『ネメシス』が生まれたのであった。
これがネメシスことマシュー・アンダーソンが語る自らの過去らしいが……?

そしてネメシスが生まれた

◆感想
とにかく露悪趣味な演出・展開が盛り込まれまくっている、マーク・ミラーのダークな作風『だけ』を煮詰めたような作品。
あんまストーリーには期待しないほうが良い一作かも。
一応最終話である#4ではネメシスの真の正体と警官殺しを続けてきた動機が語られ、さらに最後の最後にはどんでん返しも用意されてはいるのだけれど、そんなに驚かされるような感じでもない、かな~り浅い内容。
ただ最終話の本部長との一騎打ちの時にネメシスの一人称が『私』から『オレ』に変わり、口調も常に冷静沈着な不気味さを感じるヴィランからただの調子に乗っているだけの一人の人間に変化しているのは細かい演出だと思うし結構好き。これがネメシスの正体という最後のどんでん返しに繋がっているわけだしね。

それにスティーブ・マクニーブンのアートで描かれるネメシスの容赦ない殺人っぷりの迫力は凄まじいものがある。白い衣装がどんどん返り血で赤く染まっていく様にはゾクゾクします。
しっかしホント彼のとにかくハイスペックな身体能力と莫大な資産のおかげでいくらでも逆転できてしまうチートっぷりはエグいな!一方で設定で語られてるようなネメシスの頭脳ってのはぶっちゃけそんなに活かされているように見えないのが少々アレなんだけどね……

ちなみに本作は『ミラーワールド』というユニバースに属している一作。

ミラーワールドロゴ

当初は2003年発表のコミック『ウォンテッド』以降、マーク・ミラーがオリジナル作品を発表する際に使用していた個人ブランド名だったのですが、これが実は単なるアピールではなくマーク・ミラーオリジナル作品は世界観を共有しているという事実が近年判明
本作も『キック・アス』も『キングスマン』もその他諸々の作品も、実は全て同じ世界観で起こっている出来事だったんですねー。
マーク・ミラー独自のこのユニバースの世界観はどんどん広がりつつあるので、ちょっと色々読んでみようかなと思う今日この頃です。
【ミラーワールド公式サイト】

でまあ『ネメシス』、メチャクチャに面白いってわけではない、もう少し話も演出も練り込みようがあったんじゃないかって感じの一作ですが、前述したように『もしバットマンがジョーカーだったら?』というコンセプトで、できる限りそれを描こうとしていた部分にはなかなかに惹かれるものがあったコミックでした。
ひょっとして最後の最後に明かされるあの存在は、いつかミラーワールドに属する何らかのオリジナル作品で再利用しようとか考えてたりするのかなー?

私を逮捕したら大変なことになる