ツルゴアXXX

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14 2019

ヘレディタリー/継承

ヘレディタリー予告編ヘレディタリー/継承
【原題】Hereditary 2018年【米】


グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。エレンは気難しく、謎の多い人物だった。エレンの遺品が入った箱には、「私を憎まないで」 というメモが挟んであった。エレンの娘アニーは、過去の出来事がきっかけでエレンに愛憎入り交じる感情を抱いていた。自らの人生を精巧なミニチュアで表現するアーティストであるアニーは、エレンとの暗い思い出をミニチュアにし、セラピーにも通っている。アニーは夫・スティーブン、内気な高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま……。
やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする……。祖母に溺愛されていたチャーリーは、彼女が遺した“何か”を感じているのか、不気味な表情で虚空を見つめ、次第に異常な行動を取り始める。まるで狂ったかのように……。
そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。
“受け継いだら死ぬ”祖母が家族に遺したものは一体何なのか?

***

本作が長編映画デビュー作となる、アリ・アスター監督が手掛けるホラー映画。
新人監督の作品でありながら、サンダンス映画祭で発表されるとその恐怖描写と物語展開の緻密さから「ホラーの常識を覆した最高傑作」「現代ホラーの頂点」と批評家から最高評価を受けまくった話題作です。

本作は怪現象で恐怖を与える描写よりも、じわじわと家庭崩壊が進んでいく様がキツくて見ている側の精神に来るっていう作りです。作中で家族が見舞われる『あんな事故』が起こっても、家族だから一緒に生活しなきゃいけないのがもう……し、しんどい……!!それまでは「なんかずーっと不穏な雰囲気が漂ってるな」ぐらいの感じだったのですが、『事故』が起こってからの家族の雰囲気はまさに“地獄”の一言。

ホラー映画って何かしら不気味な怪物が現れたり、グロテスクな遺体を見せるなり、もしくは怪現象に大きなリアクションを見せてビックリさせたりとかするのが基本形なんですが、本作で登場人物が取るリアクションはもっと生々しい。
家族がだんだんバラバラになっていくこの現状に対してどうすればいいかわからなくなり、皆が精神的に疲弊していく様が実にリアルに描かれていくのです。
ホラーの歴史は長く、これだけ作品の数が多くなってくると真新しさを出すのが難しくなっていくものだと思うんですが、まだこういう切り口があったかと驚かされます。

それと本作は物語の序盤から緻密に伏線が張られており、エグすぎる結末に向かって少しずつ回収していくその構成がまた見事。
公式サイトでは本編に張り巡らされた「謎」についても詳しく解説されているので、鑑賞後に閲覧するのがオススメ。
※パスワード入力欄で「見る」と入力する必要アリ。
【観た人限定完全解析ページ | 映画『へレディタリー/継承』公式サイト】

で、本作は悪魔崇拝的な要素も盛り込まれてるんですけど、個人的に「悪魔崇拝」とか「悪魔憑き」を題材にしたホラーって日本の怖い話のジャンルだと馴染みが薄いのと、どうにもファンタジーな印象が強くて正直入り込めない事が多かったんですね。
でもヘレディタリーでのこれらの描写はめっちゃくちゃに気味が悪くて怖かったです。
少なくとも2018年のホラー映画の中では全てにおいてこの『ヘレディタリー/継承』がトップクラスなんじゃないかと思える出来でした。上映時間が2時間以上とホラーにしては結構ボリュームのある作りですが、カメラワークや演出、そして何度も言うようにストーリー展開が巧みなのでダレる事なく身終えてしまった。超オススメの一作!!

【21世紀最恐のホラー映画『へレディタリー/継承』:アリ・アスター監督が明かす制作秘話 - i-D】
【『へレディタリー/継承』主演アレックス・ウォルフが体験した地獄 - i-D】

 
13 2019

スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグミリオネア予告編スラムドッグ$ミリオネア
【原題】Slumdog Millionaire 2008年【英・米】


18歳の少年ジャマールは、警察に逮捕された。理由は、インドで大人気を誇る世界最大のクイズショー「クイズ$ミリオネア」に出演し、あと1問正解を出せば番組史上最高の賞金を獲得できるところまで勝ち抜いたからだ。いまだかつて医者も弁護士も、ここまで勝ち残ったことはない。しかも、ジャマールは、学校にも行ったことがないスラム出身の孤児なのだ。果たして彼はどんなズルをしているのか? いや、それとも彼は生まれながらの天才なのか?
過激なまでに貧困と富が混在するインド・ムンバイを疾走しながら、〈望まなくとも答えを知ることになった〉少年の過酷な人生と運命。そして明かされる、彼がクイズに参加した本当の目的とは。苦しい人生の心の支えとなってくれていた初恋の少女ラティカに、もう一度会いたいという想いであった。
1問正解するごとに、近づいていく運命と希望。インド中が息を飲んで見守る中、彼に出された最後の問題は、ジャマールの人生を試すような驚くべき問題だった──。

***

本作はヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』を原作とし、あのクイズ番組『コウン・バネーガー・カロールパティ(クイズ$ミリオネア)(フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア)』を題材にしつつ、シリアスに物語が展開していくヒューマンドラマ。
学があるはずもないスラム街出身の主人公ジャマールが、並み居るエリートでも到達できなかった連続正解を果たしてしまったために番組参加を中断させられ警察から疑惑をかけられる……というところから物語がスタートし、彼の幼い子供時代から現在に至るまでを少しづつ回想し、その合間合間にクイズに答えていくシーン、そして現在の警察に厳しい取り調べを受けているシーンが入れ替わり立ち替わりに描写されていく構成なんですが、このやり方が実に上手い。

回想ではインドでの貧困問題と社会問題が織り交ぜられ、その厳しい環境で生きてきたジャマールとその兄、サリーム。そしてその中でジャマールの心の支えになっていた初恋の少女ラティカの姿が描かれていく。ジャマールらが“生きるため”にやってきた行為が偶然にもミリオネアを突破するための知識として作用していく、その流れが本当に面白い。
もちろん、それがあまりにも都合が良すぎるために警察の疑念もなかなか晴れてくれないわけなんだけれども……。

この映画、物語の冒頭にミリオネア風の4択問題が字幕で表示されているのですが、この演出が最後の最後に生きてくる……『もはや意図的なまでにご都合主義的だったストーリー展開も受け入れさせられてしまう演出』になっていてグッときた!!
ジャマールの生い立ちを描く過去、取り調べを受ける現在、クイズを回答していく3つの場面が丁寧に結びついていき、クライマックスでミリオネアの興奮と主人公自身の物語の感動に繋がっていく作りが見事な映画でした。オススメ!!

【スラムドッグ$ミリオネア インタビュー: 「スラムドッグ$ミリオネア」がオスカーを獲ったのは「運命」 - 映画.com】
【オスカー監督ダニー・ボイルが『スラムドッグ$ミリオネア』で感じた運命とは——? | cinemacafe.net】
【ダニー・ボイル監督が語る『スラムドッグ$ミリオネア』 | ORICON NEWS】